えーと、まず、なんで俺これ読もうと思ったのかわかんない。
下山事件といえばそりゃ昭和史に名を残す未解決事件つーか、陰謀論大好きっこにはたまんないネタですけれども。えー、まぁ、正直どうでもいい。考え始めると「そもそも轢死体は本当に下山総裁のものなのか?」ってとこからはっきりしないしね。作者がモリヒロだったら絶対死体は下山総裁のものじゃない。
でも、読んではみたが楽しめなかったかつーと、これが楽しいんですよ。
実はとっても歪んだ楽しみ方ができる本。
まず、著者の森達也さんがテレビ・ジャーナリスト出身で、ドキュメンタリー映画を撮っている人だということで、起承転結どうすっかなーって考えながら取材してる感じが出まくり。出まくりなんだけれども、それを本人意識してない。でも、そういう職種の人を見慣れているとわかるんだ、すごく。
あと、この本にかぎらず「自分は左右どちらでもない」って言ってるらしいんだけれども、冒頭から井筒監督から友人の紹介を受けるっていう時点でいやそれはどーよ、と。当然読む側にもそういうバイアスがかかりますわな。政治的には保守アナーキストの俺から見るとそう見えるだけかもしれんけど。
そして最大の見せ場は、同行取材していた週刊朝日の記者さんに先に本を出されてしまい、文中に「恨んでないけど」と混ぜながら恨み事をつらつらと書いているところ。さらにはこの「下山事件」ではキーマンとなる『彼』こと柴田哲孝が、「森の書いた本の俺の発言はねつ造」とか言ってこれまた下山事件本を出すという、いやー、ジャーナリストって本当に面白いですね。
ということで、下山事件に興味がないのに「あわせて読みたい」本がさらに2冊も増えて困りましたな。
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